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タウンニュースの取材がありました

大切な人の思い胸に

 

剣道學び処「正孝塾」の主宰を務める

上原 多摩さん  62歳



 ○…高部屋小学校と市総合運動公園体育館で幼稚園児から中学生まで20人ほどを指導する。3年前に27歳で他界した娘の意思を継ぐ形で道場を開くことを決意。勤め先の伊勢原を拠点に生徒2人からスタートし、今年7月に県の剣道道場連盟に加入。念願叶い正式に道場として始動し9月17日に初の公式戦に選手を出場させる。

 ○…剣道6段。小学5年の時に父親の勧めで道場に。その時いきなり防具をつけられ、面を何度も打たれた。「悔しくて指導者に『卑怯者』と捨て台詞をはき、竹刀を床にたたきつけて家に帰った」と笑う。しかし根っからの負けず嫌いの性格から今度はやり返そうと次の稽古日には道場へ足を運んだという。

 ○…兵庫県出身。すぐに町田市へ移住し、玉川学園中、都立高校を経て東海大に進学。剣道部で指導をしていた井上正孝氏から大きな影響を受けた。剣道を型で覚えるのではなく、頭で考えさせる指導で、年長者が年少者を指導する“寺子屋”的なやり方だった。これにより思いやりが生まれ、人として成長できるとして自身も指導に取り入れている。「井上先生の名前から塾名を頂いた。先生から『型の切り売りはしない。楽しくやるのが大事』と言われてきた。おかげで剣道を楽しむことを学んだ」と微笑む。

 ○…現在は専修大学伊勢原体育寮で管理業務に従事する。剣道歴50年、剣道一筋で人生を歩んできた。2年前に心臓の手術を受けながらも、妻と二人の息子、娘の教え子の5人で指導にあたる。「娘は中学校の指導者として生徒を全国大会に出場させる夢があった。もし生きていれば自分が道場を開くことはなかったと思う」と話す。これからも恩師の教えを伝えながら、愛娘の夢の実現を目指す。平塚市在住。

 

本文はタウンニュースより掲載しました。

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